年金+2000万円

金融審議会の報告書が波紋を呼んで、野党が政府に問いただしています。

原文はこちらです。

金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について:金融庁

報道でもっとも取り上げられた「2,000万不足」の部分も、その前後を読めば「人によって異なる/人それぞれだ、からね」とちゃんと書いてあります。(一応、ね。一部の人がいうような「2,000万ないと食い詰める」というようには読めない。ようになってる。)

 

で、内容的にはまっとうな分析に基づいているように読めました。元データが改ざんされていたりすれば別です。またその可能性という意味では、最近は高くなっていると言わざるを得ないですね。特に、収入・支出データ比較と「毎月5万円赤字」を引き出しているのは、厚生労働省のデータですから。

少子高齢化はもう言われて久しく、一方年金制度の抜本的改革はそのままでしたから(マクロ経済スライドくらいですかね)、所得も退職金も下がればそりゃ、年金だけじゃ無理ですよーと言わざるを得ないでしょうし、そこをちゃんと言ったという点でこの審議会は(首相の諮問機関であるらしいが)信頼できそうです。

 

やるべきはこの報告書をちゃんと検討して今後の年金制度を見直すか、もう自助努力の方に行くか、その他の方法か、を国民に説明して納得(しなくても理解)してもらうようにすることだと思うのですが、違いますかね。

 

報告書を受け取るとか受け取らない、とかの問題ではない。受け取らないで書きなおさせて、内容が変わったらそれこそヘンでしょ?忖度でしょ?

 

 

読書記:『星夜航行』飯嶋和一(文芸春秋)

甚五郎を中心とする群像劇であり、通底するのは支配者とそれに取り付く者たちの理不尽な/利己的な欲望に基づく行動と保身に苛まれながら、才能頭脳を使って果敢にそれに抵抗しもしくはまったく無力に命や生活を奪われる人民や支配者側の者たちの姿である。

それはわかるけれども、まるで軍記・戦記のように時系列に戦況を微に入り細を穿った記述を延々と読まされるのは正直つらかった。その中に確かに人間ドラマが織り込まれているのだけれども、そしてその必然的背景として記述したいと推測するけれども、却ってそれにより登場人物の考え方を読者が感じることを妨げてはいないか。

「~であろうはずもなかった」のフレーズの多用も気になった。こんなに文章投げたように書く人だったか。


遡って始祖鳥記、雷電本紀を再読して確かめたくなった。